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オオハクチョウのおはなし~自分と命を信じること [秋のいきもの、なぜ?なに?リクエスト]

11月上旬、静岡市のある場所にオオハクチョウの家族が飛来しました。
本来、北海道や東北など寒い地域で越冬する渡り鳥です。
あたたかい静岡にはとても珍しいことなのだそうです。
(オオハクチョウの保護のため、詳しい場所は伏せているようです^^)

☆静岡新聞の記事です。
https://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/829226.html

友達のKさんがオオハクチョウの家族に会いに行ってきたそうです。
そのときの動画を見せてくれました。
こちらです。


Kさんが見せてくれたオオハクチョウさんがとても綺麗で、
おはなしをさせてもらいました。

オオハクチョウのお父さんがお話ししてくれました。

ハ「一羽はこの子たちの姉にあたる。」

二つがいのうち、年上のほうのつがいがお父さんとお母さん、
若い方のつがいがこの両親の娘とその旦那さんの白鳥だそうです。
3羽のまだ大人になっていない白鳥はお父さんとお母さんの子供だそうです。

ハ「この場所は気に入っている。人との距離もあるし、天敵もいない。
  食べ物も豊富で安全に過ごせる。
  暑すぎず、寒すぎず、ちょうどいい。
  
  今、気候が大きく変わって、私たちは北だけではなく、
  多くの越冬地で過ごすことを試みている。
  体を気候に適応させるために、様々な食性を試して、
  どんな土地でも生き残れるように。
  暖かさにも適応できるように。
  この子たちの子孫がますます冬がないような時代を生きるとき、
  体が適応していけるように。」

私「そうだったんだね。
  シベリアのほうも気候が変わってきている?」

ハ「今の北海道の夏のような地域もある。
  だから涼しい地域だけでは生き残れない。
  温暖な地域で子育てできるように、冬も夏も体の備えが必要だ。
  
  産卵周期も変わってくるだろうから、繁殖期も産卵期も
  温度の差がなくなってきても大丈夫なように、
  ここで越冬を試しているんだよ。」

私「教えてくれてありがとう。
  白鳥さんたちは親子の群れで移動していることが多いけど、
  異性とはどう知り合うの?」

ハ「シベリアの繁殖地では、実に多くの白鳥が一つの湖につどっている。
  だから適齢期の異性と知り合うことはたやすいよ。

  私たちは相手が死なない限り、ほぼ生涯同じ相手とつがう。
  20年ほどは生きるからね。

  家族の絆はとても強い。
  一年仔は同じ群れで親と過ごす。
  その後もとどまって子育てを手伝うことがある。
  うちの子もそうだよ。
  (若い白鳥のつがいのことです。)

  家族単位で生きることで、子を守り育て、立派に自立させて、
  繁殖地の湖でつがい、また新しい家族を作る。

  たいてい三年仔以内に家族を持つ。
  二年仔の間は経験を積んで、渡りのルートや身の守り方、
  餌の確保、体力づくりをする。

  新しい群れを率いるには、三年仔以降ではなくてはこなせない。
  そうして初めて家族を持って養える。
  私たち渡りをするものは、他の鳥よりより試練が大きいからね。」

私「なぜ渡りをするの?」

ハ「もともと体が寒さに適応して出来ている。
  暑い夏は体に向いていない。
  季節ごとに移動をすることで、地球を知るのも楽しいよ。
  夜の渡りは浪漫だ。
  星明り、月の位置を頼りに飛ぶ。
  我々の体の中には磁石があるからね。

  そうしてまたここに帰ってきた。
  我々の子供もまたここに来るかもしれないし、
  来年は別の場所を試すかもしれない。

  生きるために進化は必要だ。
  変化は常に生きるためにある。
  体を適応させ、遺伝子を変化させ、住む場所を変える。
  それをいとわない。

  生命はいつも自由だ。
  それを忘れなければ、どんな局面でも生きてゆける。

  人間は今の局面をどう乗り越えるのか。
  我々のように生命はいつも自由だと、いつも変容の可能性に
  満ちていることを忘れないでほしい。

  冬鳥が夏鳥に変わることだってある。
  我々はそれをいとわない。
  命はいつも変わる可能性に満ちているのだら。
  地球は変化を望んでいるのだから。

  新しい種はいつもそうして生まれ、
  命の歴史はそう刻まれてきたのだから。
  その一コマを担うといい。」

私「どうもありがとう!」


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Kさんからご感想をいただきました。

白鳥さんにお話しを聞いてくださり、どうもありがとうございました。

「生命はいつも自由」
この言葉を聞いて、あらためて野生動物の逞ましさに驚きました

与えられた環境の中でどう生きていくのか常に思いをめぐらせ
自分達が変化していき、生命のバトンをつないで行くという
使命感がヒシヒシと伝わってきました。

変化することをいとわないなんて、私にはなかなか出来ないことです。

今このコロナの状況もどこか現実として受け止められず内側
にこもることばかり考えていた私の時間は長い間とまっていました。

でも白鳥さんのいうように「生命はいつも自由」

行動は制限されても生命はもっと羽ばたいていいはず。

白鳥さんの言葉で何か大きな勇気をもらった気がします。

それにしても動物さんの言葉はいつも核心を得ていて重い

素敵なお話を聞かせてくれた白鳥さんと千尋さんに感謝です。

それから
「夜の渡りは浪漫」流れ星

なんて素敵な言葉なんでしょう。
白鳥のお父さんは詩人だと思います。

長い間、同じ白鳥さんと連れ添うのも素敵ですよね。

外見と同じく気高くて誇りあるお父さんに惚れ惚れです。

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この数日後、オオハクチョウさん家族はこの場所を離れて旅立ったそうです。
子供達に色んな場所を見て、経験を積んでほしいと願っているのだと思います。

オオハクチョウのお父さんは、世界中の人間が新型コロナウイルスの脅威に
されされていることを知っていました。

かたやオオハクチョウたちのような野生動物は、気候変動にさらされて、
それが種や生命の危機になっているそうです。

生命の変容、遺伝子の進化、生きる場所を変えてでも
生き残ろうとするオオハクチョウさんの姿勢にはっとさせられました。

立場は違えど問題は同じ。
同じ生きているもの同士、生きる変化をいとわずに、勇気を持って
自分と命というものを信じてごらん、と話してくれました。

先日のエダシャクさんたちも、次世代のために遺伝子を変化させて
たくましく環境に適応していくと話してくれました。

命とは、生きるとは、なんてたくましいのでしょう。

私も私たち人間も、このコロナの脅威による世界の揺れに負けずに
勇気を持って生きていけたらと切に願っています。


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